WORKS:

地域と文化のためのメディアを考える連続講座 #2

目に見えないものを、わたしというメディアで、残す。
映像、写真、本、場所など、市民のわたしたちも気軽に使えるようになったメディア。「地域と文化のためのメディアを考える連続講座」では、多分野のメディアに関わる実践者による講座を通して、地域社会や日常生活の中にある”目に見えない”文化資源の探り方について考えてきました。
第二弾では、映像人類学者、哲学者、映画監督をお招きし、「見ること/言葉にすること/聞くこと」に注目して、メディアを扱うわたし自身が、どのように受信・発信をするのか、その可能性について思考します。

講座テーマ1|映像人類学が映し出す風景
12月13日(水)19:00〜21:00
会場:ことめや(鳥取市瓦町527)
ゲスト講師:川瀬慈(映像人類学者)

撮ること、見ることを通じて調査研究をおこなう映像人類学。その方法の核心と可能性はどこにあるのか、また映像人類学において「風景」とはいかなる意味を持つのかについて、エチオピアを中心として世界各地で民族誌映画制作に取り組む川瀬慈さんにお話を伺います。

関連イベント:
佐々木友輔 映像個展「映画による場所論 Geography via Film」
12.4(月)〜15(金)11:00~18:00※土日休館
入場料:無料
会場:鳥取大学コミュニティ・デザイン・ラボ(CDL)
(鳥取市湖山町南4丁目101 鳥取大学鳥取キャンパス 広報センター内)

※企画『風景/映画再考』と連携しています。
助成:平成29年度 鳥取大学地域学部長経費事業
http://qspds996.com/landscapefilm/

講座テーマ2|「民藝」をノイズ化する
1月21日(日)16:00~18:00
会場:ことめや(鳥取市瓦町527)
ゲスト講師:鞍田崇(哲学者)

民藝は「民衆が日々用いる工藝品」を表す名称として、20世紀はじめに柳宗悦らがつくった言葉。彼らは、それまで誰からも注目されず、呼び名すらなかったものたちに、言葉というメディアの創造によって光を当てました。いま、そんな民藝がブームです。100年の時を経て、あらたにうごめき始めた「民藝的なもの」たち。その実態と可能性を探ります。

講座テーマ3|「聞く」ことによって演じる映画づくり
2月18日(日)16:00~18:00
会場:ことめや(鳥取市瓦町527)
ゲスト講師:濱口竜介(映画監督)

東日本大震災以降の東北を舞台にし、被災者へのインタビューや民話語りをまとめたドキュメンター『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』、演技未経験者を中心に「聞く」ワークショップから制作された『ハッピーアワー』など、映画作品のお話から、「聞く」ことで引き出されるその人自身の表れや記録するカメラの可能性について考えます。

関連イベント:
濱口竜介監督「うたうひと」上映会
2月17日(土)18:00~20:00
会場:ことめや(鳥取市瓦町527)
入場料:無料

『うたうひと』は 酒井耕・濱口竜介監督による『なみのおと』『なみのこえ』に続く東北三部作の第三部。「みやぎ民話の会」の小野和子を聞き手に迎えて、東北地方に口承されたの民話の「語り/聞き」の場が創造的なカメラワークによって記録されています。上映後は、映画監督の濱口氏を囲んでお話会を開きます。

講師プロフィール:
川瀬慈(映像人類学者)
映像人類学者/国立民族学博物館人類基礎理論研究部・准教授。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了後、マンチェスター大学グラナダ映像人類学センター研究員、SoundImageCulture(ベルギー)客員講師などを歴任。主にエチオピアを中心に、アフリカの音楽文化に関する人類学研究、ならびに民族誌映画制作に取り組む。人類学、シネマ、アートの交差点から、文化の記録と映像表現の地平を開拓する。代表的な映像作品に『ラリベロッチ』『僕らの時代は』『精霊の馬』『Room 11, Ethiopia Hotel』『めばえる歌 ー民謡の伝承と創造ー』等。近年は日本の他にも、ドイツ、中国、韓国、エチオピア等において映像人類学の理論と実践に関する講義を行う。英国王立人類学協会民族誌映画祭審査委員(2009)、ゲッティンゲン国際民族誌映画祭審査委員(2012、2014)。
http://www.itsushikawase.com/

鞍田崇(哲学者)
1970年兵庫県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業、同大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。専門は哲学・環境人文学。総合地球環境学研究所を経て、2014年より、明治大学理工学部准教授。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、工芸・建築・デザイン・農業・民俗など様々なジャンルを手がかりとして、現代社会の思想状況を問う。著作に、『フードスケープ 私たちは食べものでできている』(共著、アノニマ・スタジオ 2016)、『知らない町の、家族に還る。』(共著、兵庫県丹波県民局 2016)、『民藝のインティマシー「いとおしさ」をデザインする』(単著、明治大学出版会 2015)など。
http://takashikurata.com/

濱口竜介(映画監督)
1978年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業後、助監督や経済番組のADを経て、東京藝術大学大学院映像研究科に入学。2008年、修了制作『PASSION』が国内外の映画祭に出品され高い評価を得る。その後も、日韓共同制作『THE DEPTHS』や、酒井耕との共同監督による東日本大震災以降の東北を舞台にしたドキュメンタリー『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』など、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続けている。『ハッピーアワー』(2015)でシンガポール国際映画祭最優秀監督賞、文部科学大臣芸術選奨新人賞を受賞。

鳥取大学にんげん研究会とは
2012年、鳥取大学地域学部小泉元宏研究室の学生らとゲストハウス&カフェ「たみ」を運営するうかぶLLCとが共同して立ち上げた研究会。2013年以降、地域学部教員(五島朋子、仲野誠、筒井宏樹、佐々木友輔)のゼミも参画し、現在は、合同ゼミとしてゆるやかに活動している。地域社会の中でひとりの「にんげん」がどのような活動を行い、いかにして仲間を増やし環境をつくるのかについて、地域文化や生活する人々の視点で、読書会やトークイベント、研究発表会などを行う。

地域社会の記憶と文化のためのメディア・プロジェクト
主催:鳥取大学にんげん研究会・地域学部附属芸術文化センター 五島朋子
鳥取大学:人口希薄化地域における地域創生を目指した実践型教育研究の新展開(戦略3ー1)支援事業

お問い合わせ・企画:蛇谷りえ(うかぶLLC)
jatani@ukabullc.com、0858-41-2026(ゲストハウス&カフェ「たみ」兼用)