WORKS:
じぶんでつくる和紙ピアスキット<Kamikazari>
およそ1000年以上の歴史を持つ「因州和紙」は、鳥取県青谷町・佐治町を中心に作られており、今でも数件は現役で制作されています。人々の生活の中で和紙は、書くための”紙”だけでなく、素材として衣服や家具、建具、玩具となって多様に使われていました。そんな和紙の魅力を知ってもらいたいと思い、じぶんの手でつくる和紙のピアスをつくりました。
あなたのお好みでアレンジして、あなただけの和紙のピアスを完成させてください。
内容品:
・鳥取の手漉きの因州和紙3シート(雁皮・三椏・楮の3種類から選べます)
・ピアスフックと丸カン
販売は自社オンラインショップからお買い求めください。
コンセプト
因州和紙について
因州和紙は、古くから因幡の国で生産される手漉和紙の総称で、現在は鳥取市佐治町と青谷町の二カ所で受け継がれています。因州和紙の起源は定かではありませんが、8世紀半ばなら時代の正倉院文書の中に因幡の国印が押されたものが発見され、正倉院に保存されており、そのことから、千三百年近い歴史があると言われています。山々から流れる豊富な清流と原料の楮などの自然の恵みを受けて、因州和紙は栄えてきました。
わたしたちの暮らしと和紙
私たちが鳥取県にきてから知った「因州和紙」。鳥取で作られている和紙で、和紙の商品はおみやげ屋で見かけることができます。でも、実際にどういう場所でどうやって作られているのかは知らなかったので、取材をしにいきました。
まずは鳥取市青谷町にあるあおや和紙工房へ。和紙が作られる制作過程を体験しつつ、パネル展示には因州和紙の歴史が描かれています。次に、大因州製紙協業組合に附属している山根和紙資料館を訪れました。古い小学校を移築、改装して昭和50年に開館された資料館(見学は事前予約が必要)は、和紙で作られた生活用品、和紙に関する資料が展示・収蔵され、人と紙との関わりを紹介しています。そこで私たちが見たものは、単なる「紙」ではなく、紙を素材として織り上げられた紙布、和紙を着物にした紙衣、壁紙、襖、障子などの暮らしにまつわるものでした。柿渋や寒天、コンニャクノリなどで耐水に加工し、傘や笠、合羽などの雨具も展示されていました。また、祭りの儀式で使う紙垂や、その際に使用する張り子のお面など、人々の暮らしのそばには、和紙があったことが想像でき、今以上に身近にあった和紙の存在に驚きました。
さらに取材をきっかけに、わたしたちは手漉き和紙職人の方と出会い、作業風景を見せていただきました。仕事場は、会社とちがって、彼らの日常であり、生き様であり、暮らしであることがわかります。桁の中に一定量の紙液をすくって、漉桁を前後にゆらし、均一にし、桁をあげ、漉についた湿紙を紙床に重ねていく。漉かれて圧縮した紙を、奥の部屋では奥さんが、一枚一枚熱した鉄板に貼付け、刷毛でのばし、乾燥させてははがしていました。まるで厨房のような細かい作業を家族ぐるみで手仕事で行なわれている技術の歴史がそこにはありました。
こうして取材をしてみると、昔の紙は、もはや何かを記録・保存するだけではとどまらないほどのマルチメディアプレイヤーであることがわかります。しかし現在では、「素材としての紙」に代わる紙がたくさん出てきて、和紙の出番が少なくなってしまいました。私たちはいま、果たして和紙のことをどこまで身近に捉えることができるでしょうか? Kamikazariをきっかけに、一枚一枚、手仕事で作られた和紙に触れ、あなたなりの和紙の活用法を見つけていただければ幸いです。