2月7日金曜日 パトリック・ツァイ冬滞在スタート(氷ノ山)
前回の滞在から約3ヶ月ぶりのパトリック。
久しぶりにあった彼は相変わらず私たちの気持ちをパト一色にさせてくれる。
パトリックは昨日のよる鳥取についた。今回の滞在はいつもより少しながい1週間だが、天気予報をみる限りはれる日は2日間だけ。「一日もムダにできないね〜」と、昨日は22時から山に詳しい友人にきてもらい今回の撮影スケジュールを考える。そしてモデルの断髪式も行った。ザクザクザクザク切られていくモデルの髪。身体をはってくれているなぁと思った。
今回撮りたい写真は、1月、2月、3月と、できれば表紙も。
物語のスタートは雪山。雪がどれくらい積もっていてほしいか、吹雪いていた方がいいのか太陽があった方がいいのか、木や建物の雰囲気は。そんな細かい描写をイメージしながら、山をえらんでいく。天候の問題もあり、滞在中の全スケジュールを決めるのは難しく、とりあえず次の日登る山と撮りたい写真、を決めていくしかなさそうだった。
という事でこの日の山は「氷ノ山(ひょうのせん)」。撮るのは2月の雪山を歩く一枚。
氷ノ山はたみから車で2時間弱くらいで、ちょうど兵庫県との県境くらいのところにある山(鳥取県で2番目に高い山らしい)。冬はスキーをしにくる人がたくさんいる。
1月〜3月、物語の中の少年はまだ山を登り始めたばかりなので、山頂まで登る必要はなかった。そう思うと出発するときの気持ちもすこし楽になる。モデルとパトリックは特に気が楽そうだった。(ふたりは前回の矢筈ヶ山がだいぶ堪えたようだった。)
朝9時半頃、近所の商店で撮影に使う小道具をすこし見て、衣装合わせをしていざ出発。山に詳しい友人に先導してもらいながら1時間半ほど車を走らせ、道の駅若桜でご飯をたべた。たみのある湯梨浜町と比べるとたくさん雪が残っていたが、天気はよかった。気持ちよくてつい昼寝をしそうになってひやひやしながら運転した。睡眠はちゃんと取っておかないととは思うけど、パトリックとの時間も大切にしたいから難しい。
そこからまた30分程走り、氷ノ山の響の森という場所に向かった。前回同行してくれたもう一人の山名人が働く場所。中に入り、パトリックと一緒にお久しぶりですと挨拶をしていざロケハン。膝まである雪の中を進んでいくのは中々出来ない体験だった。天気は良かったが時おり突風が吹き、さらさらとしたパウダースノーの水しぶきならぬ雪しぶきを全身に受け、パトリックも私たちも子供みたいにはしゃいだ。
誰の足跡もついていない雪道を少しすすんで、大きいつららのある建物を通りすぎると、そこもまだ誰も足を踏み入れていない場所だった。ポツリポツリと木が植わっていて、ここで撮ってみる事にした。
登る姿を下から撮ったり、歩いているところを木や電柱に登って上から撮ったり。時おり「あ、ちょっと待ってー」「あ、いい感じいい感じ」など、相変わらず撮影はパトワールド全開。天気はよかったが、空気は冷たいし、藁靴を履いての撮影はモデルの体力を消耗させた。防寒グッズを揃えていたつもりだったがその時になってはじめて「あれがあればっ。」となる事が多かった。「安全の為」が今回のパトリックと私たちの口癖だったが、ほんとうにそうだなぁと反省。
約2時間ほどの撮影で、モデルの体感温度は−10℃くらいだったのではないかと思う程冷え込んだ。撮影を終え、響の森のオフィスで友人が暖かい珈琲とモデルに足湯を準備してくれていた。暖かいと優しい気持ちになる。きょうの撮影の話をしたり、山の話をしたりすこし休憩をさせてもらって、記念に氷ノ山のてぬぐいを購入し、下山。
帰りの雪道はながーい下り坂で、緊張しながらゆっくり帰った。
明日は山登りは休憩の日。これからまた濃厚なパトリック週間が始まる。
(すぎたに)